潜在精巣(せんざいせいそう)、停留精巣(ていりゅうせいそう)、陰睾(いんこう)について

犬と猫の潜在精巣について

潜在精巣(せんざいせいそう)、停留精巣(ていりゅうせいそう)、陰睾(いんこう)と様々な呼び名がありますが症状は同じです。
今回は潜在精巣でお話しさせていただきます。

潜在精巣は片側または両側の精巣が下降しない状態を指します。犬と猫の精巣は腹腔内で形成され生後8週齢までに陰嚢内に下降します。ただ、仔犬仔猫は精巣が小さく触診が困難なため確定診断は3~6カ月齢でできることが多いです。

よくある潜在精巣の位置は腹腔内の膀胱付近や、後肢の内側つけ根(鼠径部)皮下です。

発生率

文献によって差異はありますが犬での発生率は1~5% 猫1%程度です。

原因

解明されておらず遺伝的疾患と考えられています。

治療

内科療法はなく外科療法になります。

陰嚢前・・・エコーガイドもしくは触診にて直上切開により摘出

鼠経部・・・エコーガイドもしくは触診にて直上切開により摘出

腹腔内・・・臍部下からペニス脇を切開し摘出

潜在精巣の動物の6%で精巣腫瘍を発生するという報告ありますが、精巣が腫瘍化するのは中年齢を過ぎてからがほとんどです。
潜在精巣が疑われても捻転等がなければ犬にとって苦痛はなく早急に手術が必要なわけではありません。よく相談をしてから今後の方針を立てましょう。


いつもお読みいただきありがとうございます

■院長 田代 雄太郎

当動物病院では、動物たちと飼い主様と獣医師でタッグを組んで、正面から向き合って診療・治療を行ってまいります。



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