掻く、舐める、咬む、痒い!~かゆみの代表的な原因~

犬にかゆみを引き起こす原因はとても多く、診断が難しい場合もあります。
なぜなら、皮膚のかゆみの原因が1つではなく、複数の要因によって引き起こされることが多いからです。
かゆみを改善させるためには、何が原因となっているかを知ることが重要です。

~かゆみを引き起こす代表的な6つの要因~

1.寄生虫

初夏~秋にかけてかゆみが起こることが多いのが特徴で、ノミ、疥癬、シラミ、マダニ、蚊などが含まれます。予防薬が適切に投与されていなかったり、寄生虫が予防薬に対して耐性を持っている報告もありますので注意が必要です。

2.感染

細菌感染が原因となる膿皮症やカビの一種であるマラセチア症が代表的です。皮膚表面の細菌やカビを顕微鏡で確認し、必要に応じ培養検査を実施します。その結果に応じ抗生剤の投与や適切なシャンプーを選択していきます。

3.アレルギー

食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー、疥癬アレルギーなどが代表的です。左右対称性の痒みや皮膚炎の症状が全身でみられます。原因によって症状が出る部位にも特徴があり、かゆがっている場所やタイミングを確認することも大切です。根治できないこともあるため、痒みを少なくするということが治療のゴールになることもあります。

4.ストレス(心因性)

ストレスと言っても環境変化等に対する精神的なストレスだけでなく、どこかが痛いや違和感があるなどの身体的なストレスによっても舐めたり咬んだりという症状がみられることがあります。

5.腫瘍

肥満細胞腫や皮膚リンパ腫などが代表的で徐々に悪化する皮膚病変が特徴です。これらのかゆみは上記のアレルギーや感染症、外部寄生虫と似た症状を示すため、しっかりとした鑑別診断が必要となります。

6.基礎疾患による皮膚バリア機能の低下

甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患では免疫力の低下により2次的に感染を起こし、痒みの症状を認めることもあります。なかなか治らなかった皮膚病が甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症の治療をしたらあっという間に良くなったということもあります。

 

当院では、可能な限り獣医学的な根拠に基づき検査・診断・治療を行います。
かゆみの原因の把握のためにオーナー様とのお話しは非常に大切な診断の助けになります。気になる点は遠慮なくお話しください。


いつもお読みいただきありがとうございます

■院長 田代 雄太郎

当動物病院では、動物たちと飼い主様と獣医師でタッグを組んで、正面から向き合って診療・治療を行ってまいります。



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