去勢手術・避妊手術の目的
去勢手術・避妊手術は健康な体にメスをいれて精巣及び卵巣・子宮を取り除く手術です。
愛しい家族の負担を考えると手術を受けさせるべきなのか悩んでしまう飼い主さんも多く、「去勢、避妊手術をした方がよいか?」とよく質問されます。
「うちの子ならします」が私の答えになります。
少し前までは去勢避妊をする一番の目的は 「望まれない繁殖を防ぐこと」 でした。 もちろん今でもそれは大きな目的の一つです。しかし現在は以下の2つも大きな目的となっています。
・高齢になってからの病気の予防
・発情期の性的ストレスの軽減
メスは発情期のホルモンのバランスが通常期と変わることから精神的なストレスを感じ、肉体的にも具合が悪くなってしまう子もいます。 そしてその時にメスから出されるフェロモンを嗅ぎ、オスもメスの元へ行きたいという衝動に駆られるので、自由にメスの元へいけない状況は精神的に大きなストレスだと言われています。
そういった発情に関わるストレスは、去勢手術や避妊手術によって軽減が期待でき、肉体的精神的なストレスの軽減によって寿命の伸びが期待できるという報告もあります。そういった理由もあり去勢手術・避妊手術は動物愛護に資する行為であるとされています。
去勢手術によって予防ができる病気
前立腺肥大
前立腺が大きくなり二次的に様々な障害を引き起こす病気です。去勢をしていない6歳以上の雄犬に多く、原因は精巣から分泌される男性ホルモンの乱れが原因だと言われています。排便障害・排尿障害・前立腺炎・会陰ヘルニア・鼠径ヘルニア・前立腺癌等の二次障害がみられることが多いです。
精巣腫瘍
精巣の腫瘍には良性の腫瘍と悪性の腫瘍(ガン)があります。ガンの場合には、リンパ節、肝臓などに転移して命を失ってしまう場合もあります。良性であっても腫瘍から出るホルモン異常により、脱毛、皮膚炎、貧血、前立腺の異常などが見られるようになります。
会陰ヘルニア
ヘルニアは本来中に収まっている臓器などが脱出してくる病態のことをいいます。会陰ヘルニアという病気は会陰部(かんたんに言うと肛門の周囲)でのヘルニアになります。初期のころは便が細くなる、排便時間の延長、しぶりといった症状がでます。
肛門周囲腺腫
ホルモン依存性の腫瘍です。良性の腫瘍なので転移などはありませんが、肛門括約筋周囲に多発性に発生してしまい日常生活に影響を与えるようになります。
避妊手術によって予防ができる病気
子宮蓄膿症
子宮内膜が腫れると同時に細菌感染を起こし子宮内に膿が溜まる病気です。多くが発情出血が見られた1~2か月後に発症します。初期症状は飲水量が増えたなどのちょっとした変化のみで気づきにくく、元気・食欲低下などの全身状態の悪化を認めてから来院され手術になることが多いです。
乳腺腫瘍
雌犬の全ての腫瘍の約50%を占めます。 乳腺腫瘍のうち良性と悪性(ガン)はほぼ50%ずつで、悪性の乳腺腫瘍のうちさらに50%は転移の可能性が非常に高いとされています。
卵巣腫瘍
卵巣腫瘍とは卵巣に腫瘍ができることです。卵巣腫瘍はそこまで多くは見られませんが悪性であることが多く、ガンにかかってしまった場合には、お腹の中に転移を起こしたり、お腹の中いっぱいに腫瘍が拡がってしまうことがあります。
去勢手術・避妊手術のデメリット
全身麻酔には一定のリスクが伴います。年齢や病気の有無によってもリスクは変わってきます。当院では手術を行う前に血液検査、レントゲン検査をかならず行います。
また、「去勢手術を受けると太りやすくなる」と言われていますが、去勢手術を受けたからといって太りやすい体質になるわけではありません。発情行動など繁殖のために使っていたエネルギーが消費されなくなるのでカロリーオーバーになってしまうことがあります。しっかりと食事のコントロールをすれば予防できますので、獣医師にご相談ください。
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■院長 田代 雄太郎
当動物病院では、動物たちと飼い主様と獣医師でタッグを組んで、正面から向き合って診療・治療を行ってまいります。
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