アレルギー性皮膚炎と食物アレルギー

アレルギー性皮膚炎と診断され療法食を食べているが一向に良くならない。
「アレルギーかも。」と言われたんだけど、フードをどうしたらいいのか?というオーナー様からの質問を多く受けます。

アレルギーが関与している皮膚病は非常に複雑で未だに解明されていない点も多いです。
今回はアレルギー性皮膚炎の中の食物アレルギーの病態に関してまとめてみました。

アレルギー性皮膚炎の基礎知識

アレルギーとは、あるものに対して過敏に反応する状態で、免疫反応が関係するものをいいます。免疫反応の過程で炎症を起こしてしまい様々なアレルギー性疾患となります。アレルギー性皮膚炎とはアレルギー反応によって引き起こされる皮膚の炎症で、皮膚病の中で30%を占める病気です。食事が原因の食物性アレルギーと、それ以外の花粉などの環境因子が原因のアトピー性皮膚炎とに分かれます。

食物アレルギーの種類

摂取後すぐ発症することを特徴とするIgE介在性のⅠ型過敏症と摂取後数時間以上経ってから症状が出現し、主にリンパ球の一種であるT細胞の活性化を特徴とするIgEが関与しないタイプのⅣ型過敏症に区分されています。犬ではIgEが関与しないタイプのⅣ型過敏症が多いとされています。I型過敏症とⅣ型過敏症では選択するべき低アレルギー食が変わってきます。免疫反応の違いにより一般的な加水分解フードはⅣ型過敏症を回避しづらい可能性があります。

食物アレルギーの診断方法

食物アレルギーの診断のゴールドスタンダートは、食物除去試験と食物暴露試験となります。つまり、除去食を与えることで臨床症状が消失し、その後の食物暴露試験により特定の食物を摂取することで症状の再発を確認することです。

・食物除去試験

食物アレルギーの原因となるタンパク質を免疫反応が感知する限界以下まで分解したごはん(アミノペプチドフォーミュラや他の加水分解フード等)、もしくはタンパク質が体今まで経験したことのないものに限定したごはん(主蛋白源が鴨肉となっているフード等)を1~2ヶ月間使ってアレルギー反応が発生しないかを観察する検査です。

・食物暴露試験

今までの食生活に戻してみます。食物アレルギーの場合1〜2週間で皮膚炎や下痢が再発します。検査用のご飯を1~2ヶ月間食べて今まであったかゆみ・赤みなどの症状が治まり、今までの食事に戻してかゆみや赤みが認められた場合その子は「食物アレルギー」だったという事が分かります。

食物アレルギーの好発部位

眼や口の周囲あるいは背中や肛門に症状が出ることが多いです。しかし食物アレルギーだけでなくアトピー性皮膚炎を併発していることも多いため、病変の分布だけで食物アレルギーだと診断することは不可能に近いです。

治療

診断確定後は、アレルギーの原因食物を同定するというよりは、除去食試験の際に用いたフードで治療する場合が多いです。
食物アレルギーが関与している皮膚疾患では、アトピー性皮膚炎等を併発していることが非常に多いため多角的な治療が必要になってきます。

皮膚治療におけるフードでお悩みの際はお気軽に獣医師に相談ください。


いつもお読みいただきありがとうございます

■院長 田代 雄太郎

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